白夜

せかいがいちばんただしいとおもう生き方

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自傷の傷痕を「気持ち悪くなどない。それだけつらい想いをし続けて、耐え抜いてきた証なのだ」と書かれていて不意に泣いてしまった。自分でもうまく消化できなかったものが、ようやく認められた気がした。

「ファーストラヴ」島本理生

直木賞を受賞した作品。ナラタージュの映画化でさらに一躍話題になった島本理生さん、前から好きなんだよね。きっかけは2013年に古本屋で入手したナラタージュ。買ってしばらく読まないままいたんだけど、かつて好きだった子と仲違いした頃に空いた時間に読んだ。タイミングがタイミングだったこともあって悲しく響いて、バイブルみたいになった。
詳しくは前のブログに書いてたんだけどもう消しちゃったからなあ……。ナラタージュはまた読み返したい作品、というか1年に1度は読み返す作品。1番好きで、1番大切な作品。
ですがまあ映画は観てません。ごめんね潤くん……潤くんの葉山先生きっと最高なんだろうけど私の思い描いてた葉山先生とすこーし違ったんだなあ……。円盤なってるしそろそろ借りて観ます。潤くんの葉山先生と架純ちゃんの泉もちゃんと受け止めるし、もちろん観たい、楽しみ

iPadで書いてるから文章長いけどごめん。
そして普通にネタバレ。自己体験も書いてるからクソつまらん。

で、今回のファーストラヴは直木賞を獲る前に買ってたんだけど、なかなか時間がなくて、単行本だったこともあって持ち歩きも難しく、ようやく読み始めて、つい先程読み終わりました。
まああらすじがまず衝撃的で目を引くよね。

「「動機はそちらで見つけてください」父親を刺殺した容疑で逮捕された女子大生・聖山環菜の挑発的な台詞が世間をにぎわせていた。臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねていくが……」

て感じなんですけど。
表紙の女の子を見た感じ環菜ちゃんが主人公だと思ってたんだけど、主人公は由紀で。あんな挑発的なことを言った環菜ちゃんは不安定で、本人さえ殺した理由がわからない。そして彼女の弁護人に選ばれたのは由紀の夫である我聞の弟である迦葉だった。メインは由紀、環菜、迦葉の3人で、家族や友人などを通して事件の真実、そして環菜ちゃんの本当の心を探していくお話だった。

ここでどうしてわたしが理生さんの作品が好きかのアピールポイント(?)

まず島本理生さんの生み出す男性は誰もがみんな魅力的なんだよね。葉山先生をはじめ、今回の迦葉や我聞、「波打ち際の蛍」の蛍、「あられもない祈り」のあなた、「イノセント」の歓、などどの作品にも必ずひとりは魅力的な男性がいる。まあこのみりょくてき、というのは完全に私見だし、一概にそうとも言えないのだけれどね。
私の好きなのが、うつくしく深い包容力があるけれど、どこか影を背負った繊細な男性、なにで理生さんの書く男性は私の好みぴったりなの! というか、多分危うげなひとには皆、好きになったり付き合ったりするかは置いといて惹かれはするんじゃないのかな?

次に、また登場人物になってしまうんだけど、どこか欠けた人間しかいないっていうところ。小説だからこそ完璧な人がいてもいいじゃんっても思うけど、でもそれだとリアリティみたいなものがないというか。現実世界を生きてる人間に完璧な人なんてほとんどいなくて誰かしらみんな傷や痛み、悪を抱いて欠けたまま生きてる、と思うので、こうして小説でもそういう人たちがいると感情移入しやすいのかなあ。登場人物で苦しんでいる人がいると、ここが足りないんだよね、わかる、わたしもここが足りないからわからなくて苦しむんだよねって思っちゃう。

あと皆が皆ハッピーエンドじゃ終わらないところ。わたしが好きな作品は「ナラタージュ」「あられもない祈り」「Red」「イノセント」なんだけど、まあどのくらいがハッピーエンドなんだろうね。なんというか、俗に言うメリバが多いよなあって思う。
わたしいろいろ創作もしてるんだけど、一度もらった感想に「ただの幸せでは終わらない作品もあるけれど、心が洗われる」とあって。自分のお話がそこまで出来ているとは思わないけど、理生さんの作品は言葉にするならまさにそうなんだよね。幸福という形には至らなくても、望んだ形ではなかろうが、救いという光が待っているような結末が多い。

二人称の使い方が好きです!!!!!
ここに関してはリアリティとは別の話になっちゃうけど、普段では使わない「あなた」や「きみ」って呼びかけるのがめちゃくちゃ好きなんですよお……。そこに少しの透明感を孕んでいて、それが魅力的な人物像を作り上げるのかなあ。

てな感じです、島本理生作品の推しポイント。
すでに長い。

ファーストラヴ、まだ1回しか読んでないから色々言うには難しいんだけど、とにかく家族っていろんな形があって、人がどう育つかはそこに掛かっているのに、家族というのは密閉空間であるために子供は親の育て方しか知らず育つんだよなって。
よそはよそ、うちはうち、って言葉があるけど、それの極限化みたいな感じだった。欠陥家族に育てられたのが上記の由紀、迦葉、環菜で、そこからふたりで逃げ出したのに噛み合わなかった由紀と迦葉、逃げ出せず抑圧されたままに父親を殺してしまった環菜。
怖いなあって思った。
うちも大概どうかという家族なんだけど、兄は普通に院まで行ってちゃんと仕事してるし、わたしも高額な学費を払ってもらって大学も三年目を過ごしてる。まあ卒業後には奨学金という地獄の返済があるんだけど。さくっと返済して結婚したいけどそう簡単に返せる額じゃねえんだわ。まあそんなのよくて、そう、家族って他の家族を知らない限り普通かどうかの見極めって難しいんだよね。
そして家族に幼い頃から強いられることって習慣になって常識になってしまうから、大人になってからしかわからない。怖いことだよね、それって。だからきっと近所づきあいとか学校の先生とか、関わることのできる外の大人がある程度関わって見ていくべきなのかなあとは感じた。

個人的に、好きになるタイプは迦葉で結婚したいタイプは我聞です。
最後のシーンの我聞さん愛しさしか湧かないんだけど……由紀が正しい選択をしていてよかったって思った。いや、あの、我聞さんが大学に来たときの迦葉がめっちゃしんどかったけどね。目から色が消えるってほんとそりゃそうだ。

結婚かあ。
誰とも付き合ったことのないわたしがどう結婚相手を見つけるんだって話はあるんですけど、包容力があってこんなわたしを好きだって言ってくれるなら、まあそんな人がいいかなあって思ってる。出会いはどこ。

でも悲しかったのは、自傷持ちの環菜を非難してた母親がかつて自傷していて、それを気持ち悪いと言っていたところ。結局理解してくれる人間が近くにいない限り、自分自身でも理解することはできないんじゃないのかな。
誰かを非難する人間でさえそうして傷を抱えてる、て思うと人を簡単に嫌ってはいけないし、内情を理解せずに決めつけるのはあまりにもしてはいけないことだと反省。

もう自傷はしてません。けど二十歳を越したのをいいことに酒飲んで煙草吸ってます、それが自傷代わりになってます。どうなんだろうね、これ。
自傷のはなし、あんまり詳しくしたことないよね、ここで。
小学5年生(10年前か、まじか)のときに当時好きだった親友と一緒に始めたのがきっかけ。ほら、病んでるのって特別感あってかっこいいよね!てなるお年頃で。で、その親友はとくに傷も残らず癖にもならず通り過ぎたんだけど、わたしはそうはいかなかったんだな。最初は手首に薄くしていたから残らなかったけど、その後数年間、自罰の意味で跡が残るように切り始めちゃって。結局左腕と左足首、太腿に跡が残ってる。母親にはばれたし、理解はされなかったけど叱られて、でも苦しくなるたびに誰かを傷つけるたびに自罰してたらそれだけ残っちゃった。
で、上京してからはブロンでODしてた。金のかかる自傷だよねえ。まあそれも軽度の心臓病発病してやめてるんだけど。
で、二十歳を越して現在、と。まともに生きたくてたまらん。

自己体験の話が長くなってしまったけど、まあとにかく読了です、やったね。次は何読むかなあと考えてはいるけど、なかなか。2月に二次創作でイベント出るのが決定したので原稿やべえなって感じ、だけどインプットしないと無理じゃん。
ハムレットをぼんやりゆっくり読み始めてはいる、ので適当に読んでない本を引っ張り出してこようかな。こう、シェイクスピアみたいな古典小説は現代小説と一緒に読まないと頭が痛くなっちゃう。

久しぶりにこんなに長い日記書いたよ。
先週言ったように禁酒明けに飲みまくったら肝臓が強くなったのか、ビール500mlじゃ全然酔わなくなったから全然楽しくないよ。これ書きながら1缶ほしたけど全然酔ってない悲しい。ストロングに頼ってたところはあったしねえ。

それじゃあまあ、おやすみなさい。
この記事読んでる方いたらとりあえずナラタージュから読んでみようね。