白夜

せかいがいちばんただしいとおもう生き方

Hamlet

メモ書きに残したまま更新し損ねてたようなのでもったいない精神で更新。どうやら観劇当日の10/3に書いたものみたいです。ちなみに10/1には青年館ホールにて加藤和樹主演のミュージカル「タイタニック」を観ました。

以下、記事。

 

 

生きるべきか死ぬべきか
それが問題だ


ということで、一昨日に引き続き(引き続き?)SP/ACE projectのCasual Meets ShakespeareハムレットSC」のS(シリアス)を観に、ラゾーナ川崎プラザソルに行って来ました

シェイクスピアハムレット

四代悲劇に数えられる、とっても有名な演目。
わたしはうーん、恥ずかしながら読んだことも観たこともなかった。シェイクスピアで読んだことがあるのはテンペスト真夏の夜の夢ロミオとジュリエット。まあどの作品もシェイクスピアに書かれている以上有名だけれど、ハムレットは上記の一説を含め、ロミオとジュリエットと張るくらい有名なんじゃないかなあと思う、私的見解。

大体のあらすじ知らなきゃ勿体ない、てことでウィキペディアさんのお世話になって把握。簡単に言えば、デンマーク王子ハムレットが、父を殺し母を奪い王位を簒奪した叔父を討ち、復讐を果たす(ウィキペディアより引用)、そんなお話。

こう、身内のいざこざって地獄だよね。
ウチもおかしな家なのでまあ親族一同どうかしてるんだけど、ま~~地獄。よく一家離散してないなあって思うくらい。わたしが就職したら離散しそうだけどねえ。

そんなことはまあいい。

で、そんなうすぐらぁいお話をカジュアルミーツの名のとおり「普段着でシェイクスピアを」というコンセプトのもと、現代に上演することを前提にされたシリーズ、のひとつとして、SC(シリアス・コメディ)のふたつにわけての「ハムレット」でした。
そのシリアスを観劇。
シリアスのハムレットを演じるのはわたしの推し、田口涼くんです。

涼くんは、2次元の最推しを演じてくれた役者さんで、B-PROJECT on STAGE以降今回と同じSP/ACE projectの「アリスの愛はどこにある?」と演技を見るのは今回で3回目。
彼はわたしの最推し像と解釈違いなしに演じてくれて、本当に最推しが生きてる!みたいな。だから大好きで、今日も観に行けて本当によかった。

で、今日な、席がな、
2列目の!!!花道横!!!!!!

まあハコが200+2列、くらいで小さいのはあったけどアフタートークショー付きの回だったから死ぬ気で取った。死ぬ気で取ったら取れた、まじで近い意味わかんない。

どきどきしながら、どきどきしながら待ってたら前説の方が出てきて。まあ普通に面白くて。始まるんだなあってどきどきしてたら始まりました。


…普通にネタバレんぬ…


圧倒的涼くんの演技力。

先王の亡霊の噂、そして新王の戴冠式から始まるんだけど、父の死んだそのひとつき後に義弟と籍をいれた母親への憤りみたいなものがすごくて。国のため、と言われると何も言えず頷くしかないハムレットが痛々しかった。

父の亡霊の噂を聞き会いに行ったハムレットは自らを殺した男への復讐を、との言葉を聞き、叔父への復讐を心に決めた。

父の死への悲しみと母の裏切りへの衝撃と叔父への憎しみと。様々な感情に振り回されるハムレットを、涼くんの演技の振り幅で見事に演じきってたなあって。狂気の後、親友のホレイショーへ語りかけるところは柔らかな声で、たまらなくなる。

狂ったと称されるハムレットは、恋人であり光であるオフィーリアを遠ざけるために、聞くに耐えぬ罵詈雑言を伝えろとオフィーリアの兄へ言い、やがてひとりになっていく。ホレイショーだけがハムレットのそばにいた。

巻き込みたくない、見ていてほしい。そうホレイショーへ頼んだのちハムレットへ「見ているのは楽そうだけれどたまらなくなる。君にはわからないんだろうな」みたいな台詞をひとりごちるんだけど、そのホレイショーの表情がなんとも言えなくて寂しそうだった。それにしてもホレイショー顔が綺麗やねん。

そしてまあ劇団を呼んでその演目に仕掛けをして、ついに叔父のせいと確信を持つ。一方、母も自らの貞淑のない身ゆえに追い詰められていて、やがてハムレットに責め立てられ揉み合い、「わたしの知る息子はどこへ行ったの」みたいに気を保てなくなるんだけど、ま~~近くで見ててハムレットと母の揉み合いはエロかった。エロかった。

で、まあ新王の忠臣がそこでハムレットに殺され。

イギリス送りになりかけたハムレットはホレイショーの手を借り、友人を見捨ててまで国に居残り、けれどオフィーリアの死を知る。でもオフィーリアも愛する人に「尼寺へ行け(売春をしろ)」と言われたり父さんが死んだりすればそりゃあ病む。しんどい。しんどい。

オフィーリアを演じていた千里ちゃんめっちゃ可愛いの。
アリスのときに主人公のアリスを演じていたんだけれど、今回は本当に純粋可憐な素直にただまっすぐハムレットに恋をするオフィーリアで、可愛くて可愛くて、だから余計痛々しかった。
ふたりをなくしてまるでずっと夢のなかにいるオフィーリアが皆へ花を配るシーンもやるせなさがあってそこで泣いた。

そしてオフィーリアがなくなる。

オフィーリアの兄は加害者への復讐を誓い、やがてハムレットのもとにたどり着く。けれど新王の作った決闘裁判にて騙され、最終的にはハムレットと相討ちとなり命を落とす。
ハムレットの死を悟り自らもと毒入りの杯を傾けたホレイショーにハムレットは、生きてすべてを語ってほしい、との言葉を残して息を引き取った。

結局
ハムレット、オフィーリア、レアティーズ(オフィーリアの兄)、先王、新王、母、ローゼンクランツ(ハムレットの友人)、ギルデンスターン(前同)、ポローニアス(オフィーリアの父)と9人が2時間の演目の中で死んでいった。すごいな、すごい悲劇だ。

さっきも書いたけど、涼くんのね、演技の振り幅がすごいの。冷めた感じや柔らかさからの激情を抑えきれない様子。まるで業火に焼かれるようなあの苦しさ。

あとは衣装がとっても素敵だった。いろんなお洋服の継ぎはぎで、美しい衣装だった。オフィーリアのメイドのお靴が一番好き。

あとね、アリスで大好きだった新原美波さんが出てて、衣装がもう凄く可愛くて大人っぽくて、あんなお姉さんが大好き……!てなってた。


ふたつ、好きだった台詞を。


「行動が意思を決定し、その意思が次の行動を決定する」

「習慣は俺たちの天性さえも変える」

 

うまく言えないけれど、美しく繊細で、綺麗で、悲しくて、苦しくて、でもそれが人間なのだということかな。シェイクスピアを久しぶりに読みたくなって帰りにそのままハムレットを購入してきました。時間をつくって読みたいけれどそんな暇あるかな、学祭後かな。

1日のタイタニックに3日のハムレット。悲劇ばかりを続けて見てきました。
わたし、推しの俳優が出るからって理由でしかまだ舞台やミュージカルを観に行ってないけれど、そろそろ演目や演出家、脚本で選んでみるのも楽しそう。ああいう生の緊張感はきっとわたしの生きてきたクラシック音楽の世界と同じで、その瞬間そこで行われるから人はこんなに感動するんだろうね。


【追記 12/23】

来年3月の、ハムレットSC円盤リリイベ当選したのでたのしみです